支援会員様より「ジュピター」について解説文が届きました
6月8日の第3回定期演奏会での演奏曲でもあるモーツァルト交響曲大41番「ジュピター」。
こちらの曲について、クラシックの造詣深き支援会員様より、素晴らしい解説文をいただきましたので掲載いたします。
「神の閃光」とはこのことか、といつも思う。
ジュピターの第4楽章。モーツァルトがこの世に残した最後の交響曲、そのフーガの最終楽章。
ドレファミ、有名なジュピター音形と3つのテーマが同時進行するコーダの煌めき。
天上からの光の中、モーツァルトが螺旋を描き昇天していく。美と崇高が心に溢れる。
なんという立体感、なんという幸福感。まさに全能の神ジュピターを仰ぎ見る。
洋の東西を超え、人が普遍的に感じる音楽美の極み。
クライマックス、上行するジュピター音形に、往年の大指揮者ワルターはホルンを重ね、強調する。
堂々たるテンポも合わさり、さらなる、圧倒的な、高揚感を生む。
モーツァルトの満足そうな顔が浮かぶ。誰が言い始めたのかジュピターという愛称。モーツァルトは預かり知らない。
しかし、これほどローマ最高神の名に相応しい曲はない。
古典的な高い格調と揺るぎない肯定感、おおらかで堂々たる調べにはローマ盛期の
輝きを見る。
ジュピター交響曲。モーツァルトの集大成にして、その終曲は天上の閃光を放つ。
この一曲だけでも偉大な傑作として音楽史に名が刻まれるだろう。サポーター様投稿文より引用
指揮者朝比奈隆の「神の閃光」というエッセイがある。
朝比奈のコンサートで、5歳の少女が運命交響曲を聴いた。
年齢精一杯の感動表現として「大きくなったらベートーヴェンになりたい。」と母に言っ
た。
これを朝比奈は「少女は(音楽の)神の閃光を浴びた」と評している。